2007/08/08

ようかん

夏の一服の清涼剤と言えば、なんと言っても水ようかん!
ボクは目がないんだよね。
冷たくて、つるっとしたのどごしで、甘さも控えめで、と夏の和菓子の王様なのだ。
今年の夏は米国で過ごしているのでおそらく食べる機会はないのだけど、そう思うと余計に食べたくなるよ(>_<)

水ようかんと普通のようかん(煉ようかん)の違いは、名前のとおり水分量なんだって。
ようかんは小豆を主原料とした餡と砂糖に寒天を加えて固めて作るのが基本なんだけど、ようかんが餡の中に溶かした寒天を混ぜ込んでいくイメージなのに対し、水ようかんは寒天をお湯で溶かしたものに餡を入れていくイメージなのだ。
水ようかんは水分量が多いので日持ちはしづらいんだけど、その分、ぷるぷるとした独特の食感や、清涼感が楽しめるんだよね。
最初に考えた人は偉いのだ。

ようかんというのは「羊羹」という漢字を書くけど、なんでも最初は字のごとく「ヒツジ」の「あつもの(羮)」だったんだって。
「あつもの」というのは「羮に懲りて膾を吹く」の「あつもの」で熱いスープのことなんだけど、初期の羊羹はヒツジを使ったスープが冷めて、ゼラチン質が固まった煮こごりのことを指していたようなのだ。
鎌倉から室町の間にこれが日本に伝わるんだけど、禅宗のお坊さんを通して伝わったので、精進料理として肉の変わりに小豆を使うものになったそうだよ。
小豆はそのままでは固まらないので、それに小麦粉を加えた上で蒸して、デンプンで固めたとか。

戦国時代末期の天正年間に蒸して固める代わりに餡に寒天を入れて固める煉ようかんが発明され、日本独自のお菓子になったとか。
さらに江戸末期になって、寒天の量を減らして水分量を増やした水ようかんが登場することになったのだ。
ちなみに、蒸し羊羹は今でもあるけど、この手法は「ういろう」にもつながっていて、「ういろう」の場合は基本的には米の粉と砂糖を混ぜて蒸して固めるんだよね。
舟和の名物いもようかんは、裏ごししたさつまいもに砂糖を加えて、それに寒天を混ぜて作るんだけど、餡の代わりにイモを使ったものなのだ。
砂糖を少なめにすると自然な甘さになるし、寒天も最小限にすると、おいものほくほく感が出るのだ。
このいもようかんに小麦粉の衣を着けて焼いたのが、やっぱり浅草にある満願堂が有名ないもきんだよ。

今ではようかんにもいろいろな種類があって、栗ようかんは王道としても、抹茶ようかんや果物ようかんなんてのもあるよね。
餡さえ作れれば、寒天でかためてようかんになるのだ。
甘みをつけた牛乳を寒天でかためただけのものを牛乳ようかんと呼ぶこともあるけど、ま、今ではペースト状のものを寒天でかためたものの一般名詞なんだよね。

欧米の文化で言えばハードなムース或いはプディングのようなものだけど(プディングは蒸して作るしね)、ようかんはほとんどなじみがないのだ。
ボクの職場の元上司は、米国では絶対に手に入らないからと、米国出張の時にようかんを手みやげに持っていったらしいんだけど、空港でプラスチック爆弾と間違われてスーツケースを開けられて検査されたそうだよ。
確かに成分的にも似たようなものだし、X線画像でも区別はつかなさそう。
どちらものっぺりした、中身の詰まった四角いものが見えるだけなので、外国の人からしたら、それがお菓子であるとはわからないわけ。
※ちなみに、現在開発が進められているサブミリ波の検査装置だと、プラスチック爆弾の爆薬とようかんお成分の区別はつくはずなのだ、精度がよければの話だけど。
というわけで、ボクもようかんは食べたいけど、そうやってプラスチック爆弾と間違われるのもいやなので(笑)、帰国してから食べることにするのだ。

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