2007/08/29

月を食らう

28日には久々の大型天体ショーの皆既月食があったんだよね。
日本や米国の西部では観測可能だったんだけど、ボクの住んでいる米国東部では皆既月食になるのは月が沈んでからなので、日の出直前に部分月食が観測できるはずだったのだ。
でも、空全体は晴れていたのに、西の空の低いところにだけ分厚い雲があって、せっかく日の出前に早起きしたのに観測できなかったよ(>_<)

月食というのは、月と地球、太陽が一直線に並んで、月が地球の影に入るために起こる現象なのだ。
でも、満月ってたしか月と太陽がそれぞれ地球の逆側にあるときに見られるんだよね。
すると、満月のたびに月食が起こってもよさそうなものなんだけど、そんなには甘くない(?)のだ。
実は、太陽が地球のまわりを回る見かけ上の空の軌道を「黄道」と言うんだけど(本当は地球が太陽のまわりを回っているので「見かけ上」なんだよ。)、これと、月が地球のまわりを回る空の軌道の「白道」には傾きにずれがあるのだ。
で、太陽は地球に比べてはるかに大きいので、このずれの分で月は地球の影から外れて太陽の光を反射できるわけ。
でも、傾きにずれはあっても交差する場所があるので、たまたまその近くに来たときに満月になると月食が起きるのだ。
タイミングがばっちりだと今回のように皆既月食になって、まだちょっとずれていると部分月食になるというわけなのだ。

前回日本で皆既月食が全国で見られたのは6年前の2001年1月。
次は3年後の2010年12月だって。
うまく月が出ている時間に月食がかさならないといけないので複雑なようで、定期的に見られるというものでもないようなのだ。
1年のうちに数回見られることもあれば、数年で1回しか見られないこともあるそうだよ。
そういう意味では、今回は貴重な機会だったのだ。

月食の場合、日食と違って月が全く見えなくなる、というわけではないんだよね。
一般に「赤銅色」と呼ばれる赤黒い色に見えると言われているのだ。
というのも、地球の影には入るんだけど、地球の表面にある大気は光を屈折させるため、地球の影の中にはまったく光がないわけじゃなくて、屈折された光がわずかに存在しているのだ。
で、波長の短い(青い)光ほど大気で乱反射されやすいのでこの影の中には少なくて、あんまり反射されず、屈折の影響しか受けない波長の長い(赤い)光が残るというわけ。
その光を反射するので赤っぽく、しかも暗いので黒く見えるんだけど、大気の状況や月の高度でこの色はかなり変化することが知られているらしいよ。

赤くて暗い月なんてなんだか神秘的だよね。
ぜひ観測したかったのだ。
次の機会にはなんとしても観測したいな。

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