2007/09/07

即席麺

カップヌードルの進出のおかげか、アジア系移民の増加のおかげか、米国でもわりと普通にインスタントラーメンが売られているんだよね。
サッポロ一番をスーパーで見かけたときはびっくりしたよ。
でも、味は米国風になっていて、チキン、ビーフなど、味付けも違うのだ。
とは言え、世界のインスタントラーメン市場を見ると、日本・中国・韓国の消費大国の東アジアを除くと、東南アジアと米国が大きな市場になっているとかで、米国ではかなり普及しているみたい。
カップヌードルはCMにもあったように、国際宇宙ステーション(ISS)にも行ってるから、グローバル中のグローバルなのだ。

このインスタントラーメンの元祖はなんといってもチキンラーメン。
安藤百福さんが発明したんだよね。
ポイントはスープの味をよくする「油」をどうやって入れるかだったらしく、霧状にして吹き付けることで解決したそうだよ。
この油の工夫のおかげで日本初のインスタントラーメンが世界に広まっていくことになるんだって。
「コロンブスの卵」的な発想なんだけど、すごいことなのだ。

でも、実は安藤さんがチキンラーメンを開発する3年前、現おやつカンパニーの松田産業が乾燥麺の「味付中華麺」というのを製造していたんだって。
でも、これは売れなかっただけでなく、特許もおさえてなかったので、インスタントラーメンの発明者は安藤さんということになているみたい。
でも、この乾燥麺の製造過程でできてしまった麺の端切れを集めて駄菓子にしたものが「ベビースター・ラーメン」で、当時は「ベビーラーメン」として売り出したんだって。
本物の麺の方は売れなかったみたいだけど、お菓子の方は日本人なら誰でも食べたことがあるくらい普及しているよね(笑)

その後、日清食品が次々と新しい技術を開発して、インスタントラーメンが発展していくのだ。
(チキンラーメンは発売当初はとても高級品で、今のように貧乏学生の食べ物、というのではなくて、一種の道楽的趣味で食べられていたのだ!)
まずはスープを粉末状にする技術が生まれて、麺と粉末スープが分かれたインスタントラーメンが作られるのだ。
チキンラーメンの場合は味付の麺を油で揚げていたんだよね。
さらに、カップヌードルでフリーズドライ製法を採用し、麺も油で揚げずに冷凍乾燥させ、スープもフリーズドライで粉末にしたのだ。
ちなみに、フリーズドライ製法というのは、減圧していって真空に近い状態にもっていって一気に水分を蒸発させる技術なのだ。
気圧が下がると沸点が下がって、常温でも沸騰してどんどん水分が飛んでいくんだよね。
さらにそのときに気化熱で熱が奪われていって冷たくなっていくので冷凍乾燥とも呼ばれるのだ。
ただ乾燥させた乾物と違って、フリーズドライの場合は急速に水分を飛ばすので、表面がでこぼこになったり、小さな穴が無数に開くんだよね。
このおかげでお湯が浸透しやすくなっていて、数分でやわらかくなるというわけなのだ。

カップヌードルはチキンラーメンを海外に売り出しに行ったとき、外人さんが麺を紙コップに入れてフォークで食べているのを見てヒントを得たと言われているんだ。
鍋を使わず、お湯を注いで待つだけで気軽に食べられるというので、以降はカップラーメンがインスタントラーメンの主流になるんだよね。
カップヌードルは米国にも進出して、米国におけるインスタントラーメンの文化の礎を築いたのだ。
プラ・フォークで食べられるように、という工夫がよかったのかも。
最近では韓国からの移民も多いので、韓国風の「辛ラーメン」なんかもよく見かけるよ。

カップヌードルはカップラーメンの元祖であるだけじゃなく、世界ではじめて宇宙に行ったインスタントラーメンでもあるのだ。
宇宙という環境に合わせるように、麺をボール状にまるめたり、スープにとろみをつけて飛散しないようにしたり、宇宙食のスタンダードに合わせて塩分を濃くしたりと工夫がいろいろされているんだ。
最近では科学館とかでおみやげ物としても売っているよね。

海外に進出した日本食というとどうしても寿司や照り焼きに注目が集まりがちだけど、インスタントラーメンはきっともっと浸透しているのだ。
おそらく、多くの人は日本発の食文化だって気づいていないんだよね。
実は米国でもっとも浸透している日本食文化だったりして。

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