2007/09/27

恐怖主義

米国に来てから毎日のようにニュースをにぎわせているのは、イラクやアフガンでのテロの話題なのだ。
最近では、ドイツの空港でテロが未然に発見されて大きく報道されているよ。
それにしても、何の関係もない一般の人まで巻き添えになったりしてこわいことだよね。
日本は比較的治安がよいけど、ボクのいるDCの近郊は米国の連邦政府機関が集まっているだけあって、何かイベントとかがあるとテロの警戒がすごいのだ!

このテロリズムというのは、日本語ではかつて恐怖主義と言われたんだけど、もともとはフランス革命後のロベスピエールさんの行った恐怖政治(テロール:フランス語で「恐怖」という意味)から来ている言葉なのだ。
ロベスピエールさんの時代は、体制に反するような人たちがどんどんギロチンで処刑されていったんだよね。
(ギロチンは恐怖心をあおるための処刑法じゃなくて、もともとはほとんど苦痛を感じさせずに効率的に処刑を行う方法として開発されたんだよね。でも、見た目のインパクトが強すぎて、人々には恐怖の対象になったのだ。)
政敵を排除するためにうその密告なんかもあったりしたそうだけど、きっとみんないつ自分が殺されるかわからないから、戦々恐々としていたと思うのだ。
それで「恐怖政治」と呼ばれるんだよね。

で、ここから権力者側が反体制側を暴力的手段で抑圧する体制をテロリズム(恐怖主義)と呼ぶようになったのだ。
でも、時間が経ってくると、反乱分子が体制側に対して行う武装抵抗のことが「テロ」行為と呼ばれるようになって、テロリズムの意味はいつしか逆転して、反体制側が暴力的手段に訴えて抵抗活動することを指すようになったみたい。
今では、体制・反体制を問わず、暴力と恐怖を使って一般大衆を抑圧・支配することを指すんだそうだよ。
もともとは要人の誘拐や暗殺、政府機関の占拠なんかがテロ行為だったんだけど、最近では一般人も含めて拉致したり、街中で爆弾を爆発させたりと、何の関係もない人が巻き込まれるようになってきてしまっているのだ。
冷戦が終結してイデオロギー闘争は終焉したと言われるけど、そのかわりに「第三の戦争」としてテロ行為が頻発するようになってきたのだ(ちなみに、これは国家間の戦争、民族紛争や宗教対立などの局地間の戦争に対して「第三の戦争」なのだ。)。

で、テロの被害をできるだけなくそうと、国際社会もテロ活動を取り締まるべく条約を作ったり、国家間の連携・情報交換を強化したりしているみたいなんだけど、実は「テロ」の正確な定義というのは存在していないようなのだ。
なんとなく「「これはテロだな」って雰囲気で外縁がおぼろげながらに認識されているという状態みたい。
おそらく、文化的背景の違いや、宗教上の立場の違いで、なかなかきっちりと「これがテロ」って合意しにくいんだろうね。
といっても、ある程度の共通認識はあって、一般には、「恐怖心を引き起こすことにより、特定の政治的目的を達成しようとする組織的暴力行為、又はその手段」を指すそうだよ。
ジャイアンが暴力に訴えて無理矢理リサイタルを開くのは一種のテロリズムというわけなのだ!
でも、最近では、過激派が国家権力等に対して行う暴力行為を指すことが多いみたいだね。

何はともあれ、暴力は何も解決しないのだ。
マハトマ・ガンジーさんもそう言っていたよ。
犠牲者が出るとさらに怨恨が広がって泥沼にはまるから、なんとか話し合いで解決して、平和にやっていきたいものだよね。

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