2007/09/08

夜の冷え

米国では9月の第一月曜日の労働祭(Labor Day)が過ぎると夏が終わりで秋の到来という認識なんだよね。
たしかに、9月になると昼間はまだまだ暑いけど、朝と夕方はかなり涼しくなるのだ。
昼間暑いからって薄着していると肌寒く感じて、寝冷えしたりするほどだよ。

これは、一般医放射冷却の効果だといわれるんだよね。
物理法則から行くと、温度を持つ物質(絶対零度でない物質)はその熱エネルギーを電磁波として周囲に放出しているのだ。
でも、まわりより冷たいものは、自分が放射して放出している熱エネルギーより、まわりの空気から放射されて受け取っている熱エネルギーの方が大きいので、徐々にぬるくなっていくわけ。
これにより、熱エネルギーは、温度の高いところから低いところへと流れていくことになるのだ。

で、地面もこの熱エネルギーを赤外線として放射しているんだけど、昼間のうちは太陽から来る熱エネルギーを受け取る方が多いので、トータルとしてはだんだんあたたまっていくんだよね。
太陽の光であたためられるのにはどうしても時間的なラグができるので、太陽の光のエネルギーが一番強くなる南中から約1時間遅れて午後の1時ころが一番地面の温度が高くなるのだ。
この地面は太陽の熱エネルギーを受けるとともに、自分の熱エネルギーを空気中に放出しているんだけど、地上の大気は太陽の熱エネルギーで直接あたためられるというより、地面や海面から放射される熱エネルギーであたためられるんだよね。
なので、気温が最も高くなるのはさらに1時間ほど時差ができて、午後2時が一番暑い時間帯なんだよ。

夜になると、太陽からのインプットはなくなって、地面が熱を放射するだけになるのだ。
それで徐々に冷えていくというわけ。
これがないと、地球はずっと気温が上がり始めてしまうことになるのだ!
でも、雲があると雲の中に水分が赤外線を吸収するので、晴れている場合と比べて冷却具合がにぶるのだ。
よく晴れた日の夜が冷えるというのはこのためだよ。
で、真夏の夜が暑いのは、冷え始める温度がもともと高いというのもあるんだけど、湿気も多くて空気中にたくさんの水分があるので、放射冷却の効果が弱まるということもあるのだ。

さらに、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスと呼ばれる気体分子も赤外線=熱を吸収することが知られていて、この放射冷却効果をにぶらせるんだよね。
それまでは宇宙に放出されていた熱の一部が地球に残ることになってしまって、太陽から来る熱と、宇宙空間に放出する熱の収支のバランスがくるってしまうというわけ。
これが地球温暖化につながるんだよ。
地球の大気はよくできたもので、生物が生存するのに適した温度変化になるように太陽から熱を受け、それを宇宙空間に放出していたんだけど、そのバランスが熱がこもる方向にかたむきつつあるんだよね。

もともと生物はこの熱収支に合うように進化してきた(というより、この熱収支に合う生物だけが生き残ってきた)わけだけど、きっとこのまま地球温暖化が進むと、今の生物は行きづらくなってしまうのだ。
長い目で見れば新しい環境に適した生物が生き残っていくんだろうけど、おそらく、人間はその中に入っていないんだよね。
でも、人間が自然環境を破壊して起こしていることだから、できるだけ他の生物を巻き添えにしないように、もとのバランスにもどしていきたいものなのだ。

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