2007/09/19

きのこ

欧米の食文化って、あんまりキノコを食べないんだよね。
よく食べるのはマッシュルームで、あとはフクロタケやトリュフくらいだよね。
他にも使うんだろうけど、あんまりメジャーじゃないのだ。
だからかどうかよくわからないけど、本来キノコの一般名詞であるはずの「マッシュルーム」が、特定のキノコを指すことになるんだよね。
日本でも「マッシュルーム」と呼ばれる、ハラタケの一種の、白くてまるいやつなのだ。
和名はツクリタケと言うそうだよ。
ちなみに、米国ではシイタケやエノキタケ、マイタケなんかも売っているんだけど、それぞれ「○○マッシュルーム」という名前で売っているんだ。
はだかで「マッシュルーム」というと、あの丸いキノコを指すわけ。

このキノコは家畜のフンとわらなんかを混ぜたたい肥に生える菌で、食用にしているのはその幼菌なんだとか。
本当はもっと大きく成長して、かさの部分も丸まってなくて、平らに開くらしいよ。
胞子をつけたひだは赤褐色から紫褐色に色づくんだけど、日本では色づく前に収穫し、白~茶色い小さめのものを食べていて、欧米では色づき始めたころに収穫し、少し大きめのものを食べているようなのだ。
日本の食用キノコだと、主に朽ち木に生えるのが多いけど(シイタケやマツタケなんかがそうだよね。)、マッシュルームはいわゆる土から生えてくるようなキノコの一種なのだ。
ときどき公園の芝生なんかで土からキノコが生えているのを見かけるけど、そういう種類のキノコというわけ。

もともとはたい肥から自然に生えてきたものを食べていたみたいなんだけど、そのうち栽培するようになったんだって。
たい肥を小屋の中に敷き詰めたり、棚状にして何段もたい肥を積み重ねたりするのがむかしの方法で、今では人工たい肥を使って、栄養素もバランスをとってより生えやすい環境にすることもあるみたい。
温室栽培のように空調で気温や湿度なんかも調節しているみたいだよ!

この栽培方法が始まったのは、北欧でのメロン栽培に起源があると言われているんだって。
南欧から北欧にメロンの栽培が伝わったとき、北欧の寒い気候ではメロンは育たないのでたい肥でうねを作り、そこにメロンを植えたんだって。
すると、たい肥の発酵熱でメロンがあたたまって、栽培できるようにあるというわけ。
まだビニールハウスなんかがなかった時代の話だよ。
すると、そこに自然とマッシュルームが生えてきて、「これだ!」と気づいて、マッシュルームの人工栽培にも使われるようになったのだ。
はじめのころはフランスが最大の生産国だったみたいだけど、後に米国が棚状にして育てる方法で愛量に栽培する方法を確立すると、米国にその座を追われたみたい。

日本での最初の栽培は新宿御苑で実験的に栽培されたものなんだって。
でも、このときは浸透せずに、本当に試験栽培だったみたい。
その後、ホテルや高級レストランの需要に応えて、軍馬由来のたい肥を使って商業的にマッシュルームが栽培されるようになったとか。
戦後になると軍馬はいなくなったので、農耕馬や競走馬なんか由来のたい肥を使うようになり、人工たい肥による栽培も増えていったとか。
日本でもかなり普及したんだけど、シイタケなんかに比べるとはるかに生産量は少ないみたい。
ちなみに、日本で確立された方法は後に中国や台湾に技術移転され、今では台湾や中国が低価格のマッシュルームの供給国になっているそうだよ。

マッシュルームというと、シチューやカレーに入っていたり、パスタやピザ、グラタンの具だったりするイメージしかないけど、欧米でももっといろいろな用途で使うんだよね。
フランス料理ではマッシュルームを細かく砕いて煮たシャピニオン・ソースなんて濃厚なソースもあるし(これはちょっと日本人にはくどい感じがするソースなんだよね。)、薄くスライスしてサラダに入れて生食したりもするのだ。
米国の場合は缶詰や瓶詰めの水煮のマッシュルームがかなり低価格で手にはいるので、それがよく使われるよ。
もちろん、フレッシュ・マッシュルームも食べるけどね。
それでも、日本に比べるとキノコを食べる回数は少ないような気はするのだ。
日本人はよくシイタケなんかを食べるけど、けっこうキノコ好き民族なんだよね(笑)

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