2007/09/14

ロケット

今日は日本の日の丸ロケットH-IIAロケット13号機により月周回衛星「かぐや」(SELENE:Selenological and Engineering Explorer)の打上げが行われたのだ。
月の周回軌道に到達するまでにはけっこう時間がかかるけど、とりあえずは問題なくうち上がったみたい。
まずは一安心かな?

ロケットは、自らの質量の一部を勢いよく噴射して、その反作用の力で推進力を得るシステムのことで、ペットボトル・ロケットも原理は同じ。
ふくらませた風船が口から空気を出しながら飛んでいくのも同じだよ。
飛行機なんかのジェット・エンジンとの大きな違いは、空気(酸素)がなくても推進力が得られるというところ。
これは燃料と酸化剤を搭載していて、外部から空気(酸素)の供給を受けなくても燃料を燃やせるからなのだ。
なので、宇宙空間への輸送手段として使われるんだよ。

現在使われているロケットは大きく分けると固体ロケットと液体ロケットに分かれるのだ。
これは燃料の違いで、固体ロケットは燃料と酸化剤がスティックのりのかためられていて、それをケースで包んでいるようなものなんだ。
大きなロケット花火のようなものだよ。
液体ロケットは液体の燃料を使うもので、燃料としてはグレードの高い石油性燃料のケロシンや液体水素が使われたりするのだ。
酸化剤には毒性のあるヒドラジンや四酸化二窒素が長く使われていたけど、現在は液体酸素が使われることが多いみたいだよ。
ちなみに、ロケットの構造は基本的にはミサイルと同じなんだ。
ようは使う目的が一番違うというわけ。

多くのロケットは多段式のロケットだけど、ロケットは反作用の力で進むため、異動させる本体は軽い方が有利なのだ。
なので、燃料や酸化剤がすでに空になったタンクなどを捨てることで本体を軽量化するとより加速度が得られるというわけ。
現在では観測ロケットを除いて、宇宙空間に打ち上げられるロケットの多くは多段式なのだ。
最近では、飛行機で上空まで運んで、そこからミサイルのように発射させるハイブリッド型のロケットなんかも検討されているんだよね。

日本のロケット開発の父は、月光・隼の開発や零戦の生産で知られる中島飛行機の技師だった糸川英夫博士(零戦は三菱重工が開発した戦闘機だけど、実際に製造した数は中島飛行機の方が多いのだ。中島飛行機の技術は富士重工に引き継がれているよ。)。
糸川博士は当時東京大学生産技術研究所の教授になっていて、1955年、国分寺でペンシル・ロケットの水平発射実験に成功したのだ。
これを皮切りに日本でもロケット開発が進み、カッパ、ラムダと固体ロケットのシリーズが開発されていって、1970年には日本発の人工衛星である「おおすみ」がL(ラムダ)-4Sロケットで打ち上げることに成功したんだ。
このときにはすでに生産技術研究所のロケット開発グループは宇宙航空研究所を新しく発足させていて、さらにこの後には文部省の大学共同利用期間として宇宙科学研究所になるのだ。
宇宙科学研究所ではこの後も固体ロケットと科学衛星の開発を進め、小惑星探査機の「はやぶさ」や太陽観測衛星の「ひので」などの成果につながっているんだよ。

一方、実用人工衛星(気象衛星や放送・通信衛星)の打上げを行うため、1969年には特殊法人として宇宙開発事業団(NASDA)が設立されたのだ。
NASDAでは米国の液体ロケット技術から多くを学び、ついに純国産ロケットであるH-IIロケットを完成させるのだ。
現在ではさらに進化したH-IIAロケットになっているだよ。
平成15年には宇宙科学研究所とNASDA、航空宇宙技術研究所が統合して宇宙航空研究開発機構(JAXA)が誕生しているのだ。

今回打ち上げられた「かぐや」はまだ統合される前に宇宙科学研究所とNASDAの協働プロジェクトとして大々的に始まったものなんだよね。
アポロ計画以来の最大の月探査計画と言われているけど、そのキャッチフレーズに「名前負け」することなく、成果を出してもらいたいものなのだ。

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