ばんざーい、なしよ。
米国では大統領が子ども向け医療保険を拡充する法案に拒否権を発動して話題になっているのだ。
米国は日本と違って国民皆保険制度になっていないので、かなりの人数の保険に加入していない人がいるんだよね。
そういう人は適切な医療が受けられないと問題になっているのだ。
でも、大統領としてはものすごくお金のかかることだから、財政的裏付けがない状態ではコミットできない、と言っているんだよね。
今のブッシュ大統領が拒否権を発動したのはこれで3回目。
前にはヒト胚性幹細胞(ヒトES細胞)研究法案とイラク即時撤退予算法案に拒否権を発動したのだ。
この拒否権(veto)というのは日本の内閣にはない制度なのでいまいち親近感がないんだよね。
米国では、議会で議決された法案は大統領に送付されて、その法案に大統領が署名してはじめて発効するのだ。
逆に言うと、署名しなければ発効しないというわけ。
大統領は法案を了承しないときは、理由をつけて議会に差し戻すことができるんだけど、これが日曜日を除いて10日以内と決まっているのだ。
なので、議会閉会間際で残り10日をきっている場合は、拒否権を発動しなくても署名を遅らせるだけで事実上法案を廃案にできるんだって。
これを「にぎりつぶし拒否権(pocket veto」と呼んでいるらしいよ。
正式な拒否権発動の場合は、議会に理由を示して法案を差し戻すんだけど、このときの議会の対応には二通りがあるのだ。
ひとつは、大統領が了承しない理由を勘案して法案に修正を加えた上で再度送付するというもの。
もうひとつは、両院の3分の2以上の多数で再度法案を可決して、大統領の拒否権を乗り越えて法案を発効させるというもの。
これはoverrideと呼ばれるんだけど、二大政党で運営されていて、基本的に両党のはほぼ力が拮抗している米国の場合はまずoverrideはできないのだ。
両党で合意していて大統領だけが反対している場合は別だけど、歴史的にもそういう例は少ないみたい。
もっとも多く拒否権を発動したのは第33代のフランクリン・D・ルーズベルト大統領で4期12年間でなんと635回も行使したらしいのだ!
一方、第3代のトーマス・ジェファーソン大統領は任期の8年間で一度も行使しなかったとか。
こういうのは議会との関係というより、大統領の個人的な気質が大きく関係しているのかもね(笑)
フランクリン・D・ルーズベルト大統領の場合は、世界恐慌による落ち込みからニューディール政策による景気回復、第二次世界大戦への突入と激動の時代だったからというのもあるかもしれないけど。
0 件のコメント:
コメントを投稿