山燃える
紅葉で山が赤や黄色に染まることを「山燃ゆる」なんて言うけど、米国では本当に山が燃えているのだ!
カリフォルニア南部で起こっている野火(wildfire)で、ブッシュ大統領が現地に赴くほどの事態。
カリフォルニア南部のマリブという街にはハリウッド俳優なんかのセレブも多く住んでいるんだけど、そんな人たちも含めて緊急避難勧告が出ているのだ。
一般の人々はスタジアムなどで避難所生活をしているようなのだ。
今回の舵はどうも断線した電線が原因らしいけど、他にも落雷などの自然発火で起きることがあるんだよね。
で、秋から冬にかけては空気も乾燥しているので火事が起こりやすいみたいなんだけど、今回の火事はすでに数日間燃え続けていて、被害総額も100億ドルを超えるようなのだ!
今も消火活動が続いているみたいだけど、まだまだ完全に鎮火するには時間がかかりそう。
火事を消火するにはいくつか方法があるんだけど、ひとつは上から大量の水をかけること。
これは冷却するとともに表面を水で濡らすことで酸素を遮断する効果があるのだ。
可燃物には、火を近づけると燃え始める最低の温度の引火点と、火を近づけなくても自然に火がつく発火点があるんだけど、冷却することで引火点や発火点より低い温度にしようというわけなのだ。
水をかけると水が蒸発するときに気化熱で熱が奪われて冷却されるんだよね。
生木が燃えづらいのも、中の水分が蒸発するときに気化熱が奪われてなかなか引火点に達しないからなのだ。
それと、燃焼は発熱と発光を伴う酸化反応と言えるんだけど、酸素がなければ燃えないんだよね。
住宅の火事でも酸素がなくなるといったん火はおさまるのだ。
でも、ドアや窓を破ってそこに空気が流れ込んで一気に酸素が供給されるとバックドラフトという現象が起きて、一気に爆発的に燃焼が再開するのだ。
水をかけた場合は冷却しながら可燃物の表面が水で覆われて酸素と接しなくなるので酸素不足で燃えなくなるというわけ。
大規模な山火事の場合は、湖や海から大量の水を汲んで航空機から散布するんだけど、それでも規模が大きくなりすぎるとなかなか全体には及ばず、効果がなかなか出ないことが多いのだ。
その次にとられるのが化学消化剤で、これは燃焼反応を抑制する化学物質を上から散布するのだ。
いろんな色の薬剤をヘリや飛行機でまいているの様子がテレビに映ったりするよね。
かつては化学物質が熱で反応して不燃性のガスができて、それが酸素を希釈して消火作用を発揮すると考えられていたようなんだけど、最近ではこの説は否定されていて、可燃物と酸素が連鎖的に酸化反応を起こすのを阻害・遮断することで消火作用を発揮すると考えられているんだって。
先に可燃物や酸素と反応することで可燃物と酸素が反応するのを妨げたり、可燃物と酸素の反応を遅らせる触媒として働いたりと、いろんな種類があるみたい。
この消化剤の場合は冷却しないので、大量の酸素が供給されたりすると効果が薄まるのだ。
実際、今回の火事では乾燥した強い風が吹いていて、それで火事がより活性化されていたようなんだよね。
このほか、過激な消火方法もあるのだ。
ひとつは、爆発物を落としてその爆発で一気に周囲の酸素を消費して酸欠にして消火するという方法。
爆風によって爆発により生じた二酸化炭素などの不燃性ガスも広がるので、その効果もあるのだ
さすがに街中では使えないけどね(笑)
それと、これは消火というわけじゃないけど、延焼を防ぐために気を伐採したり、付近の住宅を壊したりすることもあるのだ。
これは江戸時代の火消しの消火方法と同じだよね。
火災の進行方向に燃えるものがなければそれ以上火事が広がらない、ということなのだ。
山火事の場合はそれこそ様々な方法を組み合わせて消火活動に当たるんだけど、なかなかこれといった決定的な方法がないのも確かなのだ。
天候条件にも左右されやすいし、最後は運任せみたいなところもあるんだよね。
カリフォルニアの火事も早く収まればよいのだけど。
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