2007/10/29

ネズミ

日本では区別しないんだけど、英語だとドブネズミのような大型のネズミをラット(rat)、ハツカネズミのような小型のネズミをマウス(mouse)と呼び分けるんだよね。
ボクは大学で生物系の実験をしていたんだけど、そのときに実験動物として使っていたのはマウスだったのだ。
だいたい10cmくらいの大きさ。
別の研究室ではラットを実験動物として使っていたんだけど、軽く30cmはあるんだよね。
全然大きさが違うのだ!
ラットに比べるとマウスはちっちゃくてもっとかわいらしいよ。

マウスは日本だと実験動物として確立されたハツカネズミを指すことが多いんだけど、英語では小型のネズミ全般を指すみたい。
日本で家や倉庫に住みついて害をなす小型ネズミはハツカネズミしかいないんだけど、欧州なんかでは他の種類もいるようなのだ。
マウスは別に人間の近くにだけ住んでいるわけじゃなくて、森の中なんかにも住んでいるんだよ。
その場合は他の動物の掘った巣穴なんかに住みつくのだ。
で、リスやヤマネなんかと同じように、木の実を食べたり、虫を食べたりするんだよ。
森に食べ物がなくなると人里に出てきて畑を荒らすこともあるのだ。

和名のハツカネズミはおよそ妊娠期間が20日なのでそう呼ばれるんだよね。
一度に6~8匹の子供を産むのだ。
ボクも大学の時はマウスを飼育していたけど、本当にあっという間に増えるのでびっくりだよ。
生まれて2~3週間は素人ではほとんどオスとメスの区別がつかないんだけど、4週目を超えると繁殖可能になってしまって、ちょっと確認を怠っているとまたまた子供が生まれてしまうなんてことがあったのだ・・・。
「ねずみ算」とか「ネズミ講」とはよく言ったものだと思ったよ。

一方のラットは大型のネズミの総称だけど、日本だとクマネズミやドブネズミがこれに当たるのだ。
耳が大きくて黒っぽいのがクマネズミで、高いところに登るのが得意なので天井裏なんかにいることが多いんだって。
耳が小さくて、いわゆるねずみ色なのがドブネズミで、高いところに登るのは苦手なので縁の下とか低いところにいるのだ。
どぶのような溝や穴に住んでいることも多いんだって。
クマネズミが比較的穀物なんかの植物性を好むのに対して、ドブネズミは肉や魚などの動物性のエサを好む傾向があるらしいよ。
ちなみに、実験動物として使うのはドブネズミの方なのだ。

ネズミはかなり早い時代に日本に渡ってきていたようで、史実以前に帰化した動物と考えられているのだ。
歴史の時間にネズミ返しなんてのを習ったけど、稲作を開始した弥生時代にはすでに害獣として認識されていたはずなのだ。
平安時代以降になると、本や教典をかじってダメにする害獣としても認識されるようになって、農家だけじゃなく、都市部にも住みついていたことがうかがえるのだ。
妖怪の鉄鼠(てっそ)は、園城寺(三井寺)の頼豪阿闍梨が悲願の戒壇創立を延暦寺に阻止され、その恨みで妖怪に変化し、延暦寺の教典をことごとく食らいつくした、という伝説に基づくものなのだ。
この話が本当かどうかは別として、ネズミによる書物の害がけっこう一般的だったってことはわかるよね。

実験動物のラットやマウスは白いと思われているけど、これはアルビノという毛の色素を作る遺伝子が欠損した種類の動物なのだ。
野生種より少し大きめなのが特徴で、目は瞳孔の色素も産生できなくて血の色がそのまま出るから灯りのだ。
でも、マウスの場合は実験動物でももっといろいろな色のものがいるんだよ。
ボクが飼っていたのはC57BL/6(通称ブラック・シック)というやつで真っ黒だったのだ。
他にも茶色いやつや栗色のやつ、赤茶のやつなどいろいろ。
でも、ラットは白いやつしか見たことなかったよ。

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