2007/10/27

メラニンで決めろ

科学雑誌のサイエンスに、ネアンデルタール人のDNA(デオキシリボ核酸)を解析したら、赤毛で肌が白い個体がいることがわかった、という論文が載って、ニュースになっているのだ。
これまではネアンデルタール人とひとくくりにしてステレオ・タイプに考える傾向が強かったみたいだけど、ネアンデルタール人は欧州から西アジア、中央アジアにかけて広く分布していたので、現生人類と同じように地域ごとに身体的特徴の差があってもおかしくないんだよね。
今回はそれがDNAレベルで解明されたというわけなのだ。
各地で骨は見つかっているから、よくよく比較研究をしていると、現生人類と同じように、地域差で北の方のネアンデルタール人は背が高いとか、南のネアンデルタール人は短足とか、きっとそういうのもあると思うんだよね(笑)

で、今回問題となった髪と肌の色だけど、これはメラニン色素の量によって決まってくるんだよね。
今回のDNA解析もそのメラニン色素を作るタンパク質について調べたようなのだ。
肌の色の場合は単純で、メラニン色素の量が多いと黒っぽく、中程度だと黄色っぽく、少ないと白っぽくなるのだ。
それぞれが黒人種、黄色人種、白人種に対応しているというわけ。
で、むかしは木の葉だの色で優劣があると本気で考えられていたわけだけど、これはただ単に環境に適応した結果なんだよね。

緯度の低い地域では太陽の光の照射角度が高いのでより多くの紫外線が地上に届くのだ。
紫外線は活性型ビタミンDを作る上で人間にとって必要なんだけど、量が多すぎるとDNAにダメージを与えて皮膚がんなどを引き起こすおそれがあるんだよね。
で、そういう紫外線の強い地域ではメラニン色素が多い方が有利になるというわけなのだ。
一方、緯度の高い地域では逆に紫外線の量が少ないんだよね。
極圏にはいると白夜なんかもあるけど、白夜があるっていうことは、その逆のほぼ1日中夜の日があるということでもあるのだ。
そう言う地域では少ない紫外線を有効活用するため、メラニン色素が少ない方が有利になるんだよね。
なので、赤道に近い地域では一般に肌が黒く、極に近い地域では肌が白くなるのだ。
黄色人種はその中間だよ(笑)

髪の毛の色はもう少し複雑で、二つのメラニン色素の組み合わせで色が決まるんだって。
黒から茶褐色のユーメラニンという色素と、赤褐色から黄色のフェオメラニンという色素らしいよ。
ユーメラニンが多いと髪の毛は黒に近づいて暗い色になり、フェオメラニンが多いと髪の毛は暖色になって明るい色になるのだ。
で、色素の絶対量が少ないと銀髪(プラチナ・ブロンド)や金髪(ブロンド)のようになるというわけ。
もっとも珍しい髪の色といわれるのが赤毛で、これはユーメラニンがものすごく少なく、フェオメラニンがものすごく多いとなるんだって。
ユーメラニンがそこそこ多いと栗色や茶色になるんだけど、この髪の色の人はけっこういるよね。

今回のネアンデルタール人は比較的緯度の高い地域(それでもイタリアとスペインだよ。)に住んでいて、肌は白く、赤毛だったのだ。
サイエンスのニュースには再現写真が載っているんだけど、なんか普通にワイルドな白人といった感じ(笑)
でも、きっと毛深さは違うと思うので、こう単純ではなかったと思うのだ。
顔中毛むくじゃらだったかもしれないし、むしろ毛が少なくてつるつるだったかもしれないし、そういうのは骨をみただけじゃわからないし、DNAで解析するのも難しいんだよね。
やっぱりタイムマシンで見に行くしかないのかな?

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