2007/10/25

和風スパゲティの殿堂

一般に和風スパゲティと言うとしょうゆ味のものを思い浮かべるけど、日本でしか食べられないという意味ではナポリタンも純和風なのだ。
ミートソースは海外でもボロネーゼとして同じではなくておかなり似たものが食べられるんだよね。
でも、ナポリタンのようにケチャップで味をつけたものは自分で作るしかないのだ!
あれってたまに食べたくなる懐かしい味で、ボクもときどき作るんだよね(笑)

日本でかつてスパゲティと言うとナポリタンかミートソースしか選択肢がなくて、しかも、麺はゆで置きしたものをフライパンで炒め直して食べるのが一般的だったのだ。
今では「アルデンテ」なんて言ってかためにゆであげたパスタが好まれるけど、むかしだったら「生煮え」と言われてしまったと思うのだ。
喫茶店なんかの場合だとむしろゆで置きできた方が好都合で、それで必ずと言っていいほどメニューに入っていたけど、それが日本中に広まった要因のひとつなのかも。

本場イタリアにもトマトソースのパスタはいろいろあって、純粋にトマトの味を楽しむポモドーロや、唐辛子をきかせたアラビアータなどがあるけど、どれもさらっとしたトマトソースで、少しねっとりした感じのあるナポリタンとは違うんだよね。
フランスにはアラ・ナポリターなというトマトソースのパスタがあって、これがナポリタンのkげんとも言われているらしいよ。
日本のナポリタンは戦後に横浜のホテル・ニューグランドで、進駐軍がスパゲッティにトマトケチャップを混ぜて食べているのにヒントを得て、トマトピューレなどを使ってトマト味のパスタを作ったのがはじまりだとか。
でも、これは今のナポリタンよりもう少し高級感のあるもので、トマトピューレと肉の代わりにトマトケチャップとウィンナーで代用されたものが大衆化して広まったそうなのだ。
はじめのナポリタンはフランスのアラ・ナポリターナに近い、トマトソースのパスタという感じだったみたい。

このトマトケチャップ味のスパゲティはいろんなところに浸透していて、定食なんかの付け合わせのパスタもケチャップであえたものだし、スパゲティパンも基本的にはナポリタンをはさむよね。
学校給食ではスパゲッティの代わりにソフト麺が使われていたけど、このソフト麺というのはビタミンBを強化した強力粉を使った麺で、一度蒸してからゆでるのでのびにくいのが特徴なんだって。
正式名称はソフトスパゲッティー式麺というそうで、学校給食に出すのにのびないように工夫して発明されたもののようなのだ。
これなんかは完全に日本特有の麺らしいよ。

こうして、日本では「スパゲッティ」と言うとうどんや焼きそばに近い大衆化した洋風麺を指すようになって、後の時代のイタリアン・ブームが来ると、本格派の麺はパスタと呼びなわされるようになるんだよね。
これはとてもおもしろい現象で、スパゲティはもはや洋風の日本料理になってしまっているので、区別して呼ぶ必要があったということなのだ。
カレーやハンバーグと並んでかつては子どもに大人気の料理だったわけだけど、最近ではあまりみかけなくなって残念なのだ。
これも洋風文化を独自に工夫して取り入れた、日本の文化を象徴するよい例だと思うんだけどな。

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