2007/10/28

これからのイモ

だんだん寒くなってきているけど、こうなってくるとサツマイモがおいしくなるよね。
焼きいもやふかしいもなど甘くておいしいのだ。
サツマイモはデンプンがたっぷりでエネルギー源としても優れているんだけど、食物繊維も多いし、さらに、ビタミンCを多く含んでいて、それが加熱しても壊れにくくなっているので美容にもよいのだ。

でも、ふかしいもよりも石焼きいもの方が甘く感じるよね。
ボクは石焼きいもだと水分が飛んで甘みが濃くなるんだと思っていたんだけど、これが違ったのだ!
石焼きいもは熱した小石の中にいもを埋めて焼くからそのナメがあるわけだけど、こうして間接的にゆっくり、じっくりと焼き上げると、いもの中にあるデンプン分解酵素(アミラーゼ)の働きで、デンプンがブドウ糖(グルコース)に分解されるようなのだ。
なので、実際に糖度を測っても甘みが増しているというわけ。
最近はスーパーなんかでガス焼きの焼きいもも売っているけど、その場合は普通に焼いただけなのでこうはいかないのだ(>_<)
経験的により甘く焼ける方法として定着したんだろうけど、よくできたものなのだ。

でも、ボクが一番好きなサツマイモの食べ方は大学いもなのだ。
外側はかりかりで、でも、中はほくほくだとおいしいよね。
蜜はかちかちのものよりも少し糸を引くくらいのゆるい方が好きかな。
もちろん、いもの甘みがわかるように甘みは少なめの方がよいのだ。
この大学芋は、さつまいもを食べやすい大きさにしてから低温でじっくり揚げて、それを砂糖と水を煮詰めて作った蜜にからませるだけの料理なんだよね。
でも、いもの揚げ方や蜜への一工夫などでだいぶ味が変わるのだ。
精製糖より三温糖を使った方が味にコクが出るとか、揚げたてのいもを暑い蜜に絡めて急速に冷やすといいとか、いろいろとコツがあるんだって。

名前の由来にはいくつか説があるんだけど、ひとつは大正時代に神田近辺の学生(主に帝大生かな?)が好んでよく食べたからこの名前がついたというもの。
また、昭和初期に東大生が学費を捻出するのにこれを売っていたからとも言われているんだって。
でも、本郷には元祖・大学いものお店があったといわれていて、赤門前に戦前まであった三河屋というお店でふかしいもを蜜にからめて売っていてたというのだ。
ちなみに、本郷や早稲田には元祖を名乗るお店があるみたいだよ。
ボクは個人的には浅草の言問通り沿いにあるお店のものが好きなのだ。

さつまいもは琉球から薩摩に伝わったのでこの名前があるんだけど、飢饉対策の作物として、第8代吉宗公が青木昆陽さんに栽培を命じたんだよね。
青木昆陽さんはもともと魚屋のせがれで、大岡忠相さんと知り合い、幕府に出入りするようになって抜擢されるのだ。
東大の小石川植物園は当時は小石川養生所で、その薬園でさつまいもの試験栽培が行われたんだよね。
植物園内にはその記念碑もあるのだ。
青木昆陽さんはさつまいもの栽培法の確立により多くの人を飢餓から救ったと言われていて、甘藷先生なんて呼ばれているんだよね。
目黒不動・瀧泉寺にあるお墓には「甘藷先生之墓」と書いてあるのだ。

今は飽食の時代だから主におやつ的に食べられるさつまいもだけど、やせた土地でも育つ上に栄養価が高いので、とても重要な作物だったのだ。
欧州ではじゃがいもにより多くに人が飢えから救われたんだけど、日本ではさつまいもが救っていたんだよね。

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